今年で結成30周年を迎えるC.U.G.ジャズ・オーケストラのライブをスター・アイズで観てきました。ちょっと覚えにくい名前ですが、Continued in the Under Ground Jazz Orchestraは「継続は力なり。恒常的なライブ活動から生まれる実態のある音楽、素晴らしいサウンドを提供し続けたい」という想いが込められているとの事。1965年代に誕生したサッド・ジョーンズ&メル・ルイス・ビッグバンドのコンセプトにもピッタリ当てはまる感じです。
サド・メルの結成当時のトランペットセクションにはスヌーキー・ヤングがリード、マービン・スタンがソロイストとして加わっていましたが、C.U.G.には渡辺勉さんという超強力なハイノートヒッターの元、広瀬未来さん、岡崎好郎さん、平手裕紀さんというこれまた強力なソロイストが揃っていて、当時のサドメルよりもソロのバトルでは、ひょっとすると聴かせるトランペットセクションになってるかもしれません。
渡辺さんからはリハーサルの後で、ワンポイント・アドバイスをいただきました。楽器の角度の5cmで1オクターブが変わる、ハイノートでは顎を下げるそして息のスピードが重要の3点でしたが、早速翌日試したところ即効果がありました!
サド・メルのオリジナルメンバーのマービン・スタンは80才近くになった今でもバリバリの現役のソリストですが、コネチカットの湖を見渡せるご自宅に一度レッスンに行った事がありました。「もっと基礎を練習しなさい」というメッセージだと思うのですが、使い古してメモ書きが至る所に残っているアーバンをいただきました。
しかし、C.U.G.のトランペットセクションは強力です! トランペットセクションの全員がソロを執れるビッグ・バンドはそうざらには無いでしょう。ライブならではソロバトルでは聴きごたえ十二分でした。
当時のサド・メルのサッククセクションは、ビリー・ハーパー、エディー・ダニエル、ジェリー・ダッジオン、ジョローム・リチャードソン、ペッパー・アダムスという錚々たらメンバーでしが、C.U.G.も負けてません。リーダーの小濱安浩さんの元、翠川秀徳さん、池田篤さん、岡崎正典さん、岩持芳宏さんで、これまた丁々発止の熱いソロバトルは聴きごたえ充分でした。
30年間C.U.G.を率いてきたリーダーの小濱安浩さん、バップからコンテンポラリーまで幅広いスタイルでソロを執っていました。
ペッパー・アダムスの豪快なサウンドを彷彿とさせる、岩持さんのバリトンのソロでした。
アルトの池田篤さん、チェロキーのソロは圧巻でお客さんを沸かせていました。ビッグ・バンドのサックスセクションで、これまた全員がソロを執れるというのはなかなか無いと思うので本当に貴重なバンドです。
サドメルのオリジナルメンバーのベースはリチャード・デイビスでしたが、C.U.G.は島田剛さんです。サウンドのみならず見ていても安定感がって、まさにバンドのベースを支えています。
表情とアクションが豊かなサド・ジョーンに反してメル・ルイスは無表情でソロも知的だった印象ですが、ドラムの倉田大輔さんも知的にダイナミックさプラスしたドラムでビートを決めていました。
本番前のリハーサルを見せていただいたのですが、水野修正さんの曲のリハーサルでは非常に細かな点まで指示されていたのが印象的でした。
サド・メルではジミー・ネッパーが味のあるソロを聴かせていましたが、C.U.G.のトロンボーンセクションも強力! ソロバトルも白熱してなかなか唸らせるソロの連続でした。
C.U.G.ジャズ・オーケストラ設立ポリシーの「恒常的なライブ活動から生まれる実態のある音楽・・・」の通り、活発にライブ活動をされています。ビレッジ・バンガードでサド・メルを前身とするビッグバンドがジョン・モスカやディック・オーツが中心となって毎週演奏していますが、ビッグバンドのライブはアメリカでもそう頻繁には無いので、C.U.G.の存在は大変貴重だと思います。しかも30年も継続している! 皆様も是非機会があれば、聴きにいかれて下さい。