「トランペットプレイヤーには多様性と一貫性が必要」ウェイン・バージェロンさん/アンディー・マーチンさんのインタビュー

ボブ・リーブスのマーケティング担当のジョンさんがウェイン・バージェロンにインタビューした興味深いポッドキャストがありますが、Hi-Bonemusicという音楽関連の本やCD、オンラインの教材を販売する会社がウェイン・バージェロン氏とトロンボーン奏者のアンディー・マーチンのインタビュー動画がYoutubeにありました。内容は同じ部分もありますが、面白いと思ったところを抜粋して要約をしてみました。(アンディ・マーティンのインタビュー部分は割愛しています)


お二人ともカリフォルニアの出身ですが音楽のキャリアの初めの部分とか、トランペットを始めた動機とか影響を受けた人などの話をまず聞かせて下さい。

皆さんご存知だと思いますが、私はフレンチホルンをやっていたんですが学校が荒らされて楽器が壊されてしまったので、トランペットに転向しました。音域は自然にマスターできて12才でダブルハイCを出せたので結構注目されたんです。多分それが理由で今もプレイしてるんでしょうね。今でもコードがどうであろうとダブルハイCは出していますが。(笑い)バンドのディレクターでありトランペットプレイヤーでもあったロン・サバスからいろんなスタイルの音楽を教えてもらいました。

では、ハイスクール卒業後に最初のプロとしての仕事の話などを聞かせて下さい。

トランペットの腕はまあまあだったのですが、とにかくロサンゼルスには上手いプレイヤーだらけであまり仕事は無かったんです。昼間はマクダネル・ダグラスで飛行機のパーツを作る仕事をし週末にウェディングなどの仕事をしていました。20才の時にバディー・マイルスから声がかかったので「やった!」と叫んで昼間の仕事をやめました。(いい仕事だったんですが・・)

バディーはリハーサルに4時間も遅れてくるといった具合でしたが、ある日ニューヨークに演奏旅行に行く事になりました。初めての飛行機でしたし、着いてからのリムジンも初めての経験で興奮しました。しかしチェルシーホテルに着いて、その興奮は終わりになりました。当時のチェルシーホテルは曰く付きのホテルで、しかも私達の部屋はセックスピストルのシド・ビシャスがガールフレンドを殺害したと言われる部屋だったんです。しかも私4人が1部屋に泊まったんです。

ニューヨークでは3,4回演奏しましたが結局この演奏旅行の給料は払われる事はありませんでした。帰りの航空券があったのは本当にラッキーでした。何年か後にNAMMショーでバディー・マイルスに出会って懐かしの再会で抱き合ったんですが、私は彼に抱き付きながら財布を探してましたよ。(笑)

これが私の最初の仕事といえる仕事でした。ですがこの時に一緒に仕事をしたミュージシャンは皆素晴らしく、特にブランデン・フィールドの力強くエネルギッシュな演奏には強い影響を受けました。今思うとこの仕事は最悪でしたが、彼らとの出会いが私の音楽のキャリアを正しい方向に向かわせてくれたと思います。そして今でも彼らとは親友です。

その後、ディズニーランドの仕事ではアンディーとも良く一緒に演奏しましたが、本当に多くの素晴らしいミュージシャンと出会い一緒に勉強や練習をしました。徐々にレベルの高いバンドで演奏する機会も増えてきたのですが、一番の転機になったのはウォーレン・ルーニングに出会った事です。彼のサブで演奏したりする中でより大きなコントラクターを紹介してもらいました。最初のレコーディングでは、今までの中で一番簡単な譜面なのに、ミスをしないかと死ぬほど緊張したのを覚えています。

お二人ともヤマハアーティストですよね。楽器の開発にはどのようにかかわられたのですか?

ボブ・マローンが私にアプローチして来たんですが、開発をやるからには今使っている楽器より良いものを作る。というのが私に課した条件でした。アーティストの名を冠したモデルが沢山ありますが、実際のセッションでその楽器を使っていないといったのを良く目にしたので、私はそうしたくはなかったのです。製品が完成するまでに5年がかかりました。

何本ものリードパイプを試し延べ座の位置をミリ単位で調整したり、ベルの形やバルブキャップの重さも細かく調整しました。完璧に調整しても聞くのは人間なのでなかなか思ったような結果にならなかったので、私のトランペットとの目隠しテストを何度もやりました。新しい楽器が全てのテストで上回っていても、履きなれた靴といっしょで今の楽器のほうがどうしてもしっくり来る。そこで理論的に良し悪しを全て書き出したのですが、新しい楽器が全てにおいて高得点でした。あらゆる音楽に対応できるというコンセプトだったのですが、お蔭様で評判は上々でクラッシックからジャズ、リードプレイヤーまで使ってくれています。

Yamaha YTR8335LA Bergeron Model

 

これからミュージシャンを目指す人へのアドバイスは?

アンディーが言ったように多様性という部分で自分の楽器以外にピアノができたり、アレンジや作曲ができるというのも大切です。トランペットプレイヤーとしてはあらゆるスタイルの音楽が演奏できるとう事と、なによりも一貫性が大切です。練習においても毎日同じルーティンでやる事、そして自分の演奏に自信がもてる事、そしてそこからは重要なのがパーソナリティーです。

例えば3rdトランペットの仕事では、リードトランペットの人に私が3rdじゃないとリードが務まらないと思ってもらう事が大切です。そのためにはフレーズを全て同じにできるようにする、もちろんピッチは完璧に合わせる、トイレにも一緒に行くとか、とにかくリードプレイヤーが最高のサウンドを出せる全ての事をするのが大切だと思います。


ウェイン・バ―ジェロンとアンディー・マーチンは仕事も良くいっしょにする親友同士なのでかなりリラックスした雰囲気でのインタビューでしたが、ロサンゼルスの音楽シーンの層の厚さとまたその厳しさが良く伝わってきました。また第一線で活躍するバージェロン氏とマーチン氏の実力がいかに凄いのかも良くわかります。日本に来る機会があれば是非、クリニックなどをやってもらいたいものです。

(参考)
Bone2pick:Wayne Bergeron/Andy Martin Interview

 

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