ブラス楽器の本場、アメリカに会員制のトランペット・プライヤー専門の掲示板が2つあります。どちらも会員数は約3万人以上で活発な意見交換がされていて正にトランペット情報の宝庫と言えます。その中からシルキーのモデルを選ぶ際に参考になりそうな投稿を選んでみました。何れもプロ、アマを問わず各自の経験からの感想を述べているのであくまで主観的ですし、また演奏する音楽によって意見は全く異なると思いますが、参考にしていただければ幸いです。(口語調の文章もあったので、意訳したり補足した部分もありますのでご了承下さい)

シルキーBシリーズ Bb トランペット
シルキー B1/B3/B4/B5/B6/B7/S42/HDシリーズ
B1は、ご存じのようにどんな仕事もこなす代表的なモデルです。同じMLボアのB5 よりオープンで抜けの良い吹奏感でそれはハイレンジでも同じで、それでいて芯のある音です。マウスピースを使い分ける事でいろんな可能性を試せる楽器です。もし1台で全ての仕事をこなしたいならB1です。
B3はラージボア、ミディアムベルなので明るい音です。オープンな吹奏感に加えて、密度の濃い指向性のあるサウンドなので、ビッグバンドのリードには最適です。コンボでダークなサウンドを求めたり、音をベンドしたりするのには向いていないかもしれません。
B4は私にはやや抵抗感を感じる吹奏感で向いて無いと思いました。
B5はBシリーズの中でも中道といっていいモデルで、バックで言うなら37です。ベルがコッパ―なので37よりも味がありますが・・。セクションに溶け込む音色ですし、B1 程でないですがあらゆる仕事に使えます。もしB1があなたの求めるモデルだとしても、B5を一度試してみてもいいでしょう。シルキーの音程、バルブ、抜けの良さからバック37からB5 に持ち替えた友人を何人も知っています。
B6は、ミディアムボアは好きではなかったのですが想像以上に良かったというのが正直なところです。「スペックを見るより吹いてみなさい」と言えます。マウスピースによって輝かしい音もダークな音も出せます。ハイノートで少し抵抗感が増しますが、全音域で抜けが良いレスポンスの良い楽器です。もしヤマハ8310、マーチン・コミッテー、Lawler C7を考えているならB6を試してみるといいでしょう。
B7はB6と同じミディアムボアですがベルが大きいイエローブラスでB6と吹奏感は似ていますがよりダークなサウンドです。B1 もダークなサウンドも出せますがB1ほど幅広くなくより密度の濃いサウンドと言えます。
S42はB6、B7と同じミディアムボアですが、私はB6、B7の方が味があるというのか身近に感じる音に思えます。いろんなマウスピースで吹き込んでみたいモデルです。HDモデルは、私にはバックに近いような印象です。私にはシルキーらしさはよりB1, B5, B6に感じるのですが、HDシリーズはオーケストラの仕事にピッタリと言えるかもしれません。(Mr. S San Antonia TX)
シルキー ミディアムボア B6/B7/B4//S42
最近私はリード、コマーシャル、ジャズの全てにB6を使っています。B3L, B1を以前使っていましたが、コントロールがし易く耐久性も増すからです。シルキーを50年近く使っていて、ほぼ全てのモデルを持っている(いました)がシルキーは私のお気に入りです。
私はB6とB7が好きです。理由はB7はB1と同程度の音の広がりと響きが得られ、程よい抵抗感があって、より少ないエアーで耐久性を高めてくれるからです。B6はB5と似た吹奏感ですが、より抵抗感があり優れたアーティキュレーションを備えています。
また私は、同じMボアのS42、B7(またはB4モデル)のイエローブラスのベルよりもB6のコッパ―のベルが好きです。もしイエローブラスベルをお望みならば、S42の方がB4よりも多様性があるでしょう。 B4は明るくてどちらかというとタイトな感じ(バックの43のように)で、セクションの演奏よりリードやコマーシャルな仕事に向いていますが、S42は要求に応じてスクリームもしてくれます。ただS42はスロットがタイトなので(音程の決まるスポットがタイト)、ベンドしたいならB4が良い選択かもしれません。コッパ―のベルはファンダメンタルな音質なのでセクション内で際立たせたり、またマイクにものり易いです。遠くにあるマイクにはB4が向いているでしょう。音の幅広い広がりを好むならイエローブラスベルのB7、よりファンダメンタルなダークな音色を求めるならコッパ―のB6、よりタイトで明るい音を望むならB4、多用性とタイトなスロッティングを望むならS42の選択だろうと思います。 (Mr.M.R.D Las Vegas NV)
シルキー ラージボア B3/X3
私はバックのLBを25年間使ってきました。もちろんその間に多くのホーンを手にしましたが、今はB3を10年間使っています。しかしX3も持っていて、どんな音楽にも対応できるので時々使います。ただX3は音の幅と広がりがあるので、ビッグバンドのリードにはベルの小さく、芯が強いサウンドのB3を使います。B3 はベリリウムのベルを付けています。リードでここぞとパワーを入れても応えてくれますし、控え目に演奏する時は、スムースな暖かいトーンにもなるので今まで中で一番気に入っていますが、X3もあらゆる音楽に対応でき、クインテットやオーケストラのセッティングには最適なので手放せません。(Mr. A.T.)
シルキー ミディアムラージボア B1/B5/S32/S32HD
私はB5とS32HDを持っていますが、B1、S32との比較をしてみました。S32HDはHDと言うだけあってヘビーな楽器なので長時間の仕事は厳しいです。大きな部屋でB1, B5, S32, S32HDを吹き比べるブラインドテストをしましたが「一番存在感のある音色」と言われたのは、何度やってもS32HDで、二番目はB1でした。私はどちらかというとBシリーズのライトウェイトに慣れているので、S32, S32HDはやや抵抗感があってレスポンスが遅い感じを受けますが、逆に存在感のある音色を好む人には最適な楽器といえるでしょう。(Mr. M, Maryland)
シルキー ミディアムラージボア i32
私は、i32とバックの6つのモデルを試奏しましたがどのバックよりもi32が好きでした。S32HDとも吹き比べましたがS32HD太く豊かな音色に対して、i32は躍動的な明るい音色でした。楽器の重さの違いだと思います。(Mr.A Brazil)
私はITGコンフェレンスでi32を購入した際にシルキーのスタッフに、なぜ他のシルキーより安いのですか?と聞きました。「最初にデザインした際は工程を短くできると思ったからですが、実際は同じ時間がかかる事がわかりました。ですので品質が他のモデルより劣っている事はありません」との答えでした。「ベルは元のモデルのS32と同じですか?」との質問には「似ていますが新たなデザインなので違います」との事でした。私がもっている他のシルキーと比べても大きな違いはありませんし、耐久性についても問題は無いと思っています。(Mr. J San Diego)

シルキーハンドクラフトシリーズBbトランペット
シルキー ハンドクラフトシリーズ HC-1, HC-2 (エクストララージボア)
私は50年代のマーティン・コミッティーのMボア、ニューヨークバック、マウントバーノンバックを所有していますがHCシリーズに大変興味がありシルキーの工場で3本を試奏走しました。HC-1(SP)は暖かな音色で、どちらかというと明るい音でとにかくよく歌います。HC-2のコッパ―ベルは暖か、ダーク、木調の音色とでも形容でき、少しプッシュするオペラのようにもなります。イントネーションが正確なのと、全域に渡ってよりオープンでコミッティーの吹奏感とは違いました。コンパクトで吹き易く、0.468″のエクストララージボアの感じはしません。Bシリーズと比べるとより暖かでダークで味のある音色だと思います。(Mr.D.T. ミシガン)
HC-2を8か月待って入手しました。1941年製のマーティン・コミッティーのミディアムボアを持っていますが、HC-2が私の毎日の楽器になりました。コミッティーとHC-2は違います、車に例えるとコルベットとジャガーEタイプのようで、重いハンドル対取り回しが楽なハンドルといった感じです。HC2 はコミッティーの前身のハンドクラフトモデルに似ていて、コミッティーに無い吹き易すさがあり、コミッティーとは一味違ったダークで深みのある音色です。私はヴィンテージのベンジ2-1/2を持っていて、ダークでメローな音色ですが、似ているところがあります。シルキーの品質はピカ一ですし8か月待った甲斐がありました。(Mr. S.W.)
惜しくも昨年他界してしまいましたが、シルキーロイヤリストの著者だったジム・ドナルドソンさんのアドバイスを最後にご紹介いたします。
「まずはB5 から試してみればいいでしょう。何故なら一番中道を行くモデルだからです。0.460″ボアとMLのベルなので、LべルのB3やX3よりもよりフォーカスしたコンパクトなサウンドが得られるます。もしやや詰まるような感じで、よりオープンではっきりした明るい音が欲しければB1を試してください。同じ0.460″ボアですがラージベルで、スロートも大きめです。もっとフリーで抵抗感の少ないものをお望みなら、X3でしょう。B1とベルは同じですが0.463″のストレート・ラージボアです。もっと大きなのが欲しい? でしたら0.468″ボアのX4もあります」
「もしB5よりもっと芯のあるフォーカスしたサウンドを望むならB2です。B5と同じですがベルは小さめのMベルです。もっと少ないエアーで吹きたい? ならばB6, B7を試してみて下さい。0.450″のミディアムボアですが途中からミディアムラージになっているのでMLボアのものより抵抗感が少なく演奏しやすくなっています。B6はB5と同じMLベルで、B7はB1と同じLベルです」
「もしB5、またはB1, B7よりもっと芯の強い、遠くまで響く音をお望みならS32 を試して下さい。より抵抗感がある方がよければS42ですし、またその逆ならS22が良いでしょう」
(参考:trumpetherald.com、everythingtrumpet.com、trumpetmaster.com)
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