オールドシルキーと今のシルキーと何が違うのでしょうか? Old Schilke vs New Schilke

シルキーのBシリーズのトランぺットは1961年にB1、B2、 B3が発表され翌年B5、B6そして1964年にB4、B7、1957年のX3と続きますが、現行のモデルに至るまで一貫してそのオリジナルなデザインが踏襲されています。以前にヴィンテージトランぺットのレストアで有名なロブ・スチュワートさんを訪ねた際「シルキーの品質は最高だけれど、ある時点でブレイス(延べ座)を安っぽいのに変えた」と言ってました。

私が以前に持っていたヴィンテージのB5(1964年製のシリアル番号2000番台)の写真があったので比較してみました。(この写真を見る度に何で手放してしまったのか、本当にため息がでます・・・) ブレイスの形状が確かに違っていました。日本版のシルキーマニアックさんによるとオールドシルキーの材質は洋白(ニッケルシルバー)で現在のは真鍮(恐らくイエローブラス)だそうです。

マウスパイプのブレイスも同様に異なっています。ロブさんによるとオールドシルキーの方がはるかに強度があるとの事。確かに太くてしっかりした感じがします。シルキー社に問い合わせないと確かな事は言えませんが、音響的はひょっとすると現在の形状の方が優れているかもしれません。

フィンガーフックの形状も異なっています。これはニューシルキーの方が丸みがあって仕上げも良くて指には優しそうです。

 

6角ボタンの形状は全く同じですが、気持ちオールドシルキーの方が厚みがあります。記憶でしかありませんが貝の色ももっと黄色っぽかったと思います。変色したのかしれません。どちらも緑のフェルトがありませんが、これはボブ・リーブスのバルブアラインメントがされている証拠です。

1stバルブのフックの形も大きく変更になっています。オールドシルキーのフックは強く握ると変形する位の細さでした。現行モデルの方がはるかに太くてしっかりしています。

それから、ロゴの囲いが現行のシルキーには無い事ですが、これは刻印する道具がすり減ってしまったために囲いを取ってしまったからです。やはり手放してしまったのですがニューシルキーにあたる3万番台のS22にも囲いがありました。1989年に工場をフィンフィールドから現在のメルローズパークに移転したのを境にこの囲いが無くなっています。

延べ座の材質やフックの形がいつ頃から変更されたのか、全部が同時に変更になったのか徐々になのかは判りません。1970年からヤマハのバルブケーシングを採用したモデル(シリアル番号20,000~24,635)が始まりますが、それ以前のものをオールドシルキーと呼ぶのか、または1970年以降もシルキーのケーシングのモデルは継続して製造をしているので、1980年以前のシリアル番号が4桁までのモデルをオールドシルキーと呼ぶのか、もし機会があったら是非シルキーの方に聞いて見たいと思います。

さてサウンドの違いは?というとオールドシルキーの方がダークで重厚な音がするという人もいますし、今のシルキーも変わらないという人もいてやはり意見が分かれるようです。シルキーフィーチャードアーティスのスティーブさんが試演奏している動画があるのでご参照下さい(B3が3000番台のオールドシルキーです)

いずれにしても一部のパーツに変更があったものの、50年以上同じデザインでしかもトップレベルの品質を維持しているのは正にシルキーのシルキーたる所以ですし、又驚きでもあります。状態の良いオールド―シルキーが時として高値で取引される事にも頷けます。もしシルキーをお持ちでしたらなるべくなら手放さないで下さい。50年後になっても恐らく価値はあまり落ちないでしょうから。


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