「最高峰のトランペットを製造するシルキー社からのニューモデルが登場!」「革新的なニューモデルここに誕生」 とグローバルさんのパンフレットには謳われています。確かに今までに無かった一体型のバルブケーシングを採用する等、今までのシルキーとは一味違ったモデルになっていますが、具体的にどう違うのかを比べてみました。

i32には今までに無い”Schilke Chicago U.S.A.”の刻印がされています。
チューニングスライドに1本の支柱があるようにS32の進化系と思われるので、本来ならばS32と比較されるべきなのですが、敢えて同じMLボア、MLベルのB5と比較してみました。まずマウスピースをセットする時に気が付くのはマウスパイプのデザインが全く違う事です。シルキー他ベンジ、レイノルズの3人がデザインして一躍有名になったマーティン・コミッティーのそれに似ています。
そして、2番管のカニ目の数が従来のずっと踏襲されていた2つから1つになっています。2つのカニ目はある種のシルキーらしさだったんですが、音響効果からの変更なのでしょうか。
敢えて変更する理由は無いとは思うのですが、ピストンのフェルトが緑から黒に変更になっています。
これは一番大きな変更点ですが、バルブケーシングが一体型になりました。シルキーの社員の方が、当初は製造工程を短縮する事でコストカットができると思っていたが実際はあまり短縮される事はなかった、従ってi32の品質は他のモデルと比べて遜色は無いとおっしゃっていましたが、正にこのバルブケーシングのデザイン変更が当初の目論見だったのでしょう。
2番抜き差し管の比較ですが、ボアのサイズの全く同じですが、肉が厚みがi32はB5より薄くなっています。それから、ベルのクルークの部分の比較ですが(左がB5、右がi32)、i32の方が太くなっています。
実際にベルのクルーク部分の径を図ってみました。左がB5で12.8mm、右がi32で13.3mm、明らかにi32の方がわずかに0.5mmですが太くなっています。
ベルの開きの部分、左がi32、右がB5です。この写真からは判りにくいのですが、気持ちi32の方が太くなっています。
最後に重量ですが、左がB5でちょうど1,000g、右がi32の1,003g、僅かに3gですがi32が重くなっています。チューニングスライドの支柱分がプラス、バルブケーシングのコネクターの小型化でマイナス、管の肉薄でマイナスなどをプラマイした結果だと思いますが、B5とほぼ同じ重量感と言えます。
さて、吹奏感ですがチューニングスライドの支柱のためかB5よりi32の方が抵抗感が増しています。B5はコッパ―ベルなので丸みのありますが、i32は遠達性がある明るい音色のようです。音程のスロットの感じはi32の方がより決まる感じでした。シルキーフィーチャードアーティストのスティーブ・ディラードさんがi32を試奏していますので参考にされて下さい。
定番のBシリーズ、Sシリーズよりも10万円以上の低価格で、しかもシルキーの品質が保証されているi32は、マウスパイプやバルプケーシングのデザインに拘らなければ、かなりのお買い得と言えるでしょう。それとケースはハードケースではなくてナイロン製なので、軽くて持ち運びが非常に楽です。
【商品】
シルキーi32( NEW/新品)ケース、マウスピース付き特価 ¥310,000
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