Flip Oakes Wild Thing は、なんかアウトドアグッズの名前のような楽器らしく無い名前がついてついていますが、あのアルトゥーロ・サンドバルも愛用している知る人ぞ知るれっきとしたトランペットです。Flip Oakes氏によるデザインなので、この名前になっているのですが、Flip Oakes氏とは一体どんな人なのでしょうか?
音楽一家に生まれ、8才でトランペットを手に取り12才で両親のバンドで最初の仕事をしたとの事。楽器の全てを知りたくて、24才でOlean Band Instrument and Repairというリペアーショップをニューヨークにオープンします。28才で生まれ故郷の南カリフォルニアに戻り一躍名前が知られるようになります。何年間も千種類以上のトランペットを試し、ベルやリードパイプ、ボアサイズを取り換えましたが結局、彼が求めるようなレスポンス、イントネーションかつ吹きやすい楽器がこの世の中には無い事を悟ったのだそうです。
そこで、彼は自分が理想とするトランペットを自信でデザインする事にしました。そして名工であるジグ・カンスタル氏が彼のデザインを忠実に形したトランペットを作り上げて”Wild Thing Trumpet”が誕生したというわけです。
以上の事をホームページで見て、フリップさんに直接いろいろ伺ってこのトランペットの事をもっと知りたいと思い、インタビューをお願いしたところ、快く引き受けて下さいました。インタビューの内容はこちらです。
さて、Flip Oakes にはWild Thingの他の3種類のBbのモデルがあるのでご紹介いたします。
Flip Oakes Wild Thing Trumpet
Flip Oakes氏が最初に世に出したモデルで、最も有名かつ愛用者の多いモデル。
・0.470″のエクストラ・ラージボア
・1番バルブ・スライド リングとストッパー
・3番バルブ・スライドのアジャスタブルストッパー
・2種類のチューニングスライド
・アマド・ウォーターキー
・モネル・ピストン
・フリップオークス特注ワン・ピースの手打ちベル
・フリップオークス特注リードパイプ
・フリップオークス・デジタル・バルブアラインメント
(注)シルバープレート、ゴールドプレート仕様、ラージ・リードパイプ仕様、コッパ―ベル仕様有
Flip Oakes Celebration
Wild Thing同様0.470″ のエクストララージボアを採用したモデルで、よりオープンな吹奏感とリッチなサウンド。
・1番バルブ・スライド リングとストッパー
・3番バルブ・スライドのアジャスタブルストッパー
・アマド・ウォーターキー
・モネル・ピストン
・フリップオークス特注ワン・ピースの手打ちベル
・フリップオークス特注リードパイプ
・フリップオークス・デジタル・バルブアラインメント
(注)ラッカー、ゴールドプレート仕様有
Flip Oakes Inspiration
Flip Oakes Wild Thingを愛用するアルトゥーロ・サンドバルの新たなコンセプトを取り入れたモデル。
・0.470″のエクストラ・ラージボア
・1番バルブ・スライド リングとストッパー
・3番バルブ・スライドのアジャスタブルストッパー
・アマド・ウォーターキー
・モネル・ピストン
・5-1/4”フリップオークス特注ワン・ピースの手打ちベル
・アルトゥロ・サンドバルのデザインによる特注ツイン・チューブ・リードパイプ
・ヘビーキャップ及びボタン(トップ&ボトム)
・フリップオークス・デジタル・バルブアラインメント
・アルトゥロ・サンドバルの練習用ピストン付き(写真参照)
(注)シルバープレート、ゴールドプレート仕様有
Flip Oakes Regend
20世紀初頭に一世を風靡し数々の模倣モデルを生んだフレンチ・ベッソンを最新の技術で再現したモデル。
・0.460″ ボア
・1番バルブ・スライド リングとストッパー
・3番バルブ・スライドのアジャスタブルストッパー
・モネル・ピストン、一体型ブラス・バルブガイド
・4-7/8” クラッシック・ベッソンデザインのワン・ピースの手打ちベル
・フリップオークス・デジタル・バルブアラインメント
(注)シルバープレート仕様有
Flip Oakes氏は音楽一家で育っただけあって、トランペットの他にクラリネット、テナーサックス、トロンボーンも演奏できるのだそうです。Youtubeにこの4種類のモデルをFlipさん自身が吹き比べています。最初に流れる”Green Dolphin Street”もFlipさんご自身のソロですが、もっと聞いてみたくなるようなソロです。日本ではなかなか手に入らないトランペットですし、実際に使ってらっしゃる方も存じ上げないのですが、是非機会があれば試奏してみたいものです。