イエローブラスベル、ゴールドブラス、レッドブラスベル、コッパ―ベルは音がどう違う?

シルキーのトランペットで最も一般的なベルはイエローブラスベルです。コッパ―はB5、B6、HC-2にのみ使われていて、ベリリウム、ゴールドブラス、スターリングシルバーはオプション選択になっています。またバックは最近コッパ―のモデルが出ましたがそのほとんどがイエローブラスベルです。ヤマハはいろんなベルのバリエーションが揃っています。はたしてこれらの材質はどんな違いがあるのでしょうか? 下記のその材質の違いをグラフにしてみました。

 

銅をどの割合で使うかで重さや加工方法に差が出てくるのは事実として理解できるのですが、音色にどう差があるのかについて、一般的に商品説明やカタログには次のように記載されています。

❍ イエローブラスベル 
明るく、張りのある音
❍ ゴールドブラスベル
幅のある豊かな音、しっとりとした奥深い音、しっかりと音の響きを感じやすく、柔らかい響きも得られやすい。
❍ レッドブラス
柔らかく、落ち着きのある音 、より倍音の多い音
❍ コッパ―ベル(ブロンズ)
レスポンスが良い、音抜けが良い、高域まで太い豊かな音
❍ ベリリウムベル
明るく、レスポンスが良く、芯のある遠達性のある音
❍ スターリングシルバーベル
ダークで暖かみのあるサウンド

多分に音の感じ方は主観的ですので、全く違った意見もあるのであくまで参考という事でご了承をいただきたいのですが、trumpetherald掲示板のアメリカのユーザーの意見を抜粋してみました。プロ、アマを問わず演奏経験が長く多くの楽器を演奏した方々の意見です。


● 他の条件が全て同じと仮定すればイエローブラスが、音の輝き、柔軟性、遠達性のバランスにおいてベストです。カッパーの比率が高いほうが微妙なニュアンスが出しやすくなりますが、高いレンジの音の遠達性が犠牲になります。

● コッパ―の比率が増せば、高音域の遠達性が低くなるのでレッドブラスの音色がより丸く豊かに聞こえるのだと思います。イエローブラスが広く使われている理由はレスポンスが良い事、そしての倍音が犠牲にならずに優れた遠達性を備えているからです。それと耐久性がある事です。

● 一般的にコッパ―の比率が多いほど豊富な倍音が得られるので、より幅の広い、カラフルな音色になると思います。遠達性においてイエローブラスとコッパ―の比較はコッパ―ベルがどのように造られたかにもよるので一概にどちらとも言えません。例えばアンダーソン社が提供する電解加工された重いコッパ―ベルはイエローブラスベルに勝るし、これはコーン社が何年も前に発見した事です。一方で手打ちの一枚板のコッパ―ベルはその造り方次第で良くも悪くもなります。カンスタルのコッパ―ベルは素晴らしく遠達性が良いと思います。またカリキオのはそれほど良くないと聞いています。

● もし他の演奏者と合わせたいならイエローブラスがベストでしょう。音質を追及するならば、ゴールドブラスはベルには最高の材質だと思います。遠達性も問題ありません。ただメーカーは実際はどんな割合のブラスを使っているかは開示しませんから、決めつける事はできませんが。

● シルキーを使っていますが、コッパ―のB5, B6とも素晴らしい遠達性があります。Mボアの B6とMLボアのB1を同じ曲を演奏して離れた所で聴いてもらったのですが、B6の方が音がよりクリヤーだったと言われました。ボアの違いベルの形状の違いはありますが遠達性においてコッパ―でも問題ないと思います。B1でB6と同じ遠達性を得るためには、より吹き込む必要がありました。

● 多くのコッパ―ベルの楽器を持っていますが音には同じ傾向があります。例えば22Bと同じコーンのトランペットですが、コッパ―100%のカプリオンベルを持つ12Bの遠達性は22Bより上でした。一般的にコッパ―比が多いと音はダークで遠達性が増すと言われています。ウォルター・ローソンがホルンで、クリフ・ブラックバーンがトランペットで検証しましたが、コッパ―比が高いベルの方が観客が受けるエネルギーは大きかったという結果でした。

● カリキオ3/9, カンスタルZKF-1525, コーン12Bなどコッパ―のトランペットを数本持っていますが、手打ちであろうと電解加工であろうと1枚ベル、2枚ベルであろうと遠達性が問題になったことはありません。レッドブラスベルについても同じです。普通のイエローブラスベルについても同じで、コッパ―に劣ると言う事はありません。要は材質よりもべルがどのように造られたか、又そのトータルなデザインの方がより重要です。


ヴィンテージのレストアで定評のあるロブ・スチュワートさんは「ベルの材質は音に影響あるとしてもそれは微々たるもので、ベルの形状、リードパイプなどその他の要素の方がはるかに影響があるので、もし迷ったら最も綺麗で見栄えのするベルを選べばいいのでしょう」とおっしゃっていました。

確かに「音」の評価は多分に主観的で、演奏者と観客でも意見が異なったり、又演奏する音楽によっても求めるイメージが異なるので単純にベルの材質が音色を確定するものでは無いのかもしれません。楽器を選ぶ際は実際に何本か試奏して、その際にできるだけ離れた所からも聞いてもらって意見をもらうのが理想的かもしれません。なかなかそういう事ができるお店は無いというのが現実なのですが・・・。ただ、あれこれ悩みながら楽器を選ぶというプロセスはこれまた楽しです!

(参考)
www.trumpetherald.com
www.everythingtrumpet.com


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