GRマウスピースが初めて数学的に定義をしたアルファアングル、マウスピースのリム、カップ、バックボアと並ぶ重要な要素

マウスピース選びの決め手となるリム、カップ、バックボアの他にもアルファアングルという要素があります。GRマウスピースの創設者であるゲイリー・ラドキー氏が初めて数学的に解明して新たなコンセプトとして定義をしたとGR社のホームページに書かれています。ラドキー氏は故レナルド・シルキーにも師事した事のあるそうです。

アルファアングルはGR社がつけた名前ですが、リムからカップに移る角度の事です。下記の図でアルファアングルが非常に小さいバック2Cと反対に非常に大きいシルキーの14A4Aの比較ですがかなり違いのある事がわかります。14A4Aのようにアルファアングルが大きいマウスピースは、日本人のように唇が厚く、歯が大きかったり出っ歯だったりするとカップの中の唇がカップの側面に当たって振動が止まってしまう事があるので、日本人には合わないと言われているようです。そこで振動が止まらないように”えぐり”呼ばれる隙間を設けたマウスピースもあります。

 

1976年だっと思いますが、サド・メルのビッグバンドが初めて来日した時、二十歳そこそこのジョン・ファディスがリードで、セシル・ブリッジウォーターがソリストでしたが、彼はこの14A4Aを使っていました。日本人以上に唇が厚かったですが楽々と吹いていました。自らのビッグバンドを率いるマイク・バックスもほぼ同じアルファアングルの13A4Aを長年使っています。ビル・チェイスもほぼ同じアルファアングルの6A4Aを使っていました。日本人以上に多様な顔立ちのアメリカ人がいろんなマウスピースを使いこなしている事を考えると、どうも唇の形とか歯の形はアルファアングルとは関係が無いのではと思います。要はしっかりとしたアンブッシュアと息のスピードがコントロールできていれば、どんなマウスピースも使いこなせるという事かなっと。

 

GR社はアルファアングルはプレイヤーのパフォーマンスにとって非常に重要だと言っています。唇をドア、アルファアングルをドア・ストップに例えていて、アルファアングルが小さければドアは大きく開く、アルファアングルが大きければドアはあまり開かないとの事。要するにアルファアングルが大きければ唇はあまり開かない=振動領域が小さい=ハイレンジが楽という事かと想像できます。

以前にカンスタルのマウスピース・コンパレーターというマウスピースの断面図が一目瞭然に解るサイトをご紹介しましたが、そのサイトを元に代表的なマウスピースのアルファアングルを図ってみました。上記のようにグーグルクロームに画面上で角度を測れるソフトを利用しているので、1~2°の誤差はあると思いますのでどうかご了承下さい。

 

アルファアングルの大小について、GR社の説明は次の通りです。

❖アルファアングルが大きい
・唇を固定できてサポートが楽
・振動領域を小さくできる
・リム径が同じでも小さく感じる
・唇がカップの中に入り込み易く無ければアルファアングルが大きいのが合う
・アルファアングルが大きすぎるとコントロールがし難くなる、振動領域が小さいので抵抗感が出る
・アーティキュレーションが難しい、 音程のコントロールがし難い、音が細くなる感じ

❖アルファアングルが小さい
・カップの中の唇の自由度が増す
・小さすぎるとサポートが感じられなくなる、アーティキュレーションが犠牲になる
・小さすぎるとエアーは入っているが振動しない
・小さすぎると音程、耐久性、アタック、柔軟性、音の明るさ、高域などが犠牲になる

多くのマウスピースのアルファアングルは13°~18°の間で、18°以上は大きめ、反対に13°以下は小さめという事になります。マウスピース選びは一朝一夕という訳にはいかず長く険しい道のりなのですが、自分にとって最適なアルファアングルのマウスピースを見つける事ができれば、より自分の理想とする音のイメージや、自分の演奏したい音楽への近道となる事は間違い無しです。


【参考記事】
憧れのトランぺッター達はどんなマウスピースを使っているんだろうか?
マウスピースを選ぶ時に「今のとカップ、リム、ボアのどこがどう違う?」という疑問に参考になるサイト

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